しつけ初心者向け

犬のしつけは何から始める?ほめ方と練習の順番をやさしく解説

公開日 2026年10月14日読了目安 約9分

犬のしつけは、安心して過ごせる環境と愛犬が喜ぶごほうびを用意し、トイレや名前への反応から始めましょう。そのうえで、近くからの呼び戻し、おすわり、短く待つ練習へ進め、できた行動をすぐにほめて報酬につなげます。

この記事でわかることは、暮らしに役立つ練習の優先順、合図と報酬の使い方、うまくいかないときの見直し方です。

この記事のポイント
  • トイレと名前への反応を暮らしの中で育て、できることを少しずつ増やします。
  • 「合図→行動→ほめ言葉+報酬」の流れで、何がよかったのかを伝えます。
  • 練習は短く区切り、失敗が続くときは難しさを下げてやり直します。

犬のしつけは何から?まず暮らしに必要なことを選ぶ

静かな室内でごほうびを準備する飼い主の手元と、そばで落ち着いている犬

最初は、トイレなど毎日必要な行動と、飼い主に注意を向ける練習を優先しましょう。教える言葉を増やす前に、犬が落ち着ける場所と、成功したときに渡せる報酬を整えます。

英国の動物福祉団体RSPCAは、基本の合図、呼び戻し、適切な場所での排泄を、報酬を使って教えることを勧めています。次の表は、それらを家庭で取り入れるための順番の目安です。RSPCAの犬の行動に関する案内

取り組む段階練習すること最初に見つけたい成功
準備静かな場所と好きな報酬を用意する落ち着いて周囲を見たり、報酬を受け取ったりできる
暮らしの中で並行するトイレと名前への反応決めた場所で排泄する、こちらに顔を向ける
注意を向けられたら近い距離からの呼び戻し呼ばれて飼い主のそばまで来る
合図での動きを増やすおすわり無理なくお尻を床につける
姿勢が安定したら短く待つその場にとどまっている間に報酬を受け取る

表を上から完全に仕上げる必要はありません。トイレは生活の中で続け、名前の練習は別の短い時間に行うなど、場面に合わせて進めます。すでにできる項目は簡単に確かめ、苦手なところに時間を使いましょう。

人や犬、生活音への慣らし方も考えたい場合は、子犬の社会化とは?時期とやり方をやさしく解説を参考にしてください。子犬期の早い段階から安全な経験を重ねることが勧められているため、合図の習得と並行して考えましょう。AVSABの子犬の社会化に関する声明

犬のほめ方の基本は?できた瞬間に報酬へつなげる

おすわりした犬に小さなごほうびを渡す飼い主の手元

ほめるときは、してほしい行動ができた瞬間を知らせ、その直後に犬が喜ぶものを渡します。報酬は食べ物に限らず、おもちゃで遊ぶことや、犬が好む触れ合いも選べます。Dogs Trustの報酬を使う練習の解説

合図・行動・報酬を図で整理する

合図 → 犬の行動 → ほめ言葉+報酬が、覚えた合図を使うときの基本の流れです。おすわりなら、次のように分けるとタイミングを確認できます。

① 合図→ ② 犬の行動→ ③ ほめ言葉+報酬
「おすわり」と伝えるお尻が床につくその瞬間に「いいね」→すぐごほうび
してほしいことを伝えるできたかを見る何がよかったのかを知らせる

「いいね」のように成功した瞬間を知らせる専用の言葉は、マーカーと呼ばれます。使い始めは静かな場所で「いいね」と言ってすぐ報酬を渡す組み合わせを繰り返し、その言葉がごほうびの予告になるようにしましょう。言葉や声の調子をそろえ、マーカーを使ったら必ず報酬を続けます。Dogs Trustのマーカーの教え方

まだ意味を知らない合図は、言うだけでは伝わりません。おすわりを教え始めるときは、後で紹介するように動きを引き出し、その動きと言葉を結びつけます。

「たくさんほめる」より犬が喜ぶものを選ぶ

声をかけられるのが好きな犬も、遊びがうれしい犬もいます。頭をなでることを全員のごほうびと決めず、愛犬が好む反応を探しましょう。落ち着いている行動には穏やかな声かけなど、その場面に合う報酬を選びます。

新しい行動の練習では、成功ごとに報酬を渡します。安定してできるようになってから、報酬の種類を少しずつ変えましょう。食べ物を使う分は食事量も含めて調整し、与えすぎを防ぎます。報酬の選び方と食事の調整

最初の練習は?トイレと名前への反応を育てる

家庭の清潔なトイレトレーから離れた場所で、飼い主に顔を向ける犬

トイレは排泄のタイミングに合わせ、名前の練習は落ち着いた場面で始めます。どちらも、できる機会を用意して、その場で報酬につなげることが基本です。

トイレは成功しやすいタイミングをつくる

起きたあと、食後、遊んだあとなどは、決めた排泄場所へ案内する機会にしましょう。床のにおいを嗅ぐ、くるくる回るといった様子も、排泄前に見られることがあります。RSPCAのトイレトレーニングの案内

  1. 1排泄しそうな様子があれば、落ち着いていつもの場所へ案内します。
  2. 2排泄が終わるのを見届け、その場ですぐにほめて報酬を渡します。
  3. 3間に合わなかったときは叱らず片づけ、次に案内するタイミングを見直します。

排泄の成功は、終わった直後に知らせましょう。片づけや別の用事を先に済ませず、その場でほめられるように準備しておきます。

失敗を見つけたあとに叱ると、犬が怖がったり混乱したりすることがあります。うまくいかない場合や排泄の様子が変わった場合は、健康上の原因も含めて相談しましょう。体調に不安があるときは動物病院に相談をしてください。失敗したときの対応と相談先

名前は「こちらに注意を向ける」きっかけにする

最初は名前を呼ぶ前に、犬が自分からこちらを見た瞬間に報酬を渡します。その経験が増えたら、名前を呼び、こちらに顔を向けたときにほめて報酬を渡しましょう。Dogs Trustの名前の教え方

まず目指すのは、こちらに意識が向くことです。長いアイコンタクトを求める課題まで一度に足さず、「今、顔を向けた」という小さな成功を見つけます。反応しづらい場所では、慣れた静かな部屋に戻って練習しましょう。

次は何を教える?呼び戻し・おすわり・短い待機

室内で少し離れた飼い主の手元へ、自分から歩いて近づく犬

次は、近くから呼ぶと来ること、おすわり、その場で短く待つことを教えましょう。呼び戻しとおすわりは別々に練習し、待つ練習は姿勢を無理なく取れるようになってから加えます。

呼び戻しは、近づきやすい距離から

室内で犬の近くに立ち、報酬を用意して少し離れます。名前と「おいで」などの合図を明るく伝え、そばまで来たらほめて報酬を渡しましょう。できるようになったら、距離を少しずつ伸ばします。RSPCAの呼び戻しの教え方

戻ってきた犬を、その場で叱らないことが大切です。呼ばれて来ると嫌なことが起こる、という経験にしないようにします。来るまでに時間がかかった場合も、戻れた行動に報酬を渡し、次は近い距離で試しましょう。

おすわりは、体を押さずに動きを引き出す

立っている犬の鼻先に小さな報酬を近づけ、手をゆっくり頭の上の方向へ動かします。犬が追ってお尻を床につけた瞬間にほめ、報酬を渡します。動きが繰り返し出るようになったら、座る動きに合わせて「おすわり」という言葉を添えましょう。RSPCAのおすわりの教え方

座らないときに腰を押して形を作る必要はありません。いったん休み、無理なくできる条件を探します。教え始めから、座ることと長く待つことをまとめて求めないようにしましょう。

「待って」は、動き出す前に報酬を渡す

おすわりなどの姿勢から、手のひらを見せて「待って」と伝え、ごく短くとどまれたところで報酬を渡します。立ち上がってからではなく、待てている間に渡すのがポイントです。最初は近くで時間を少しずつ延ばし、そのあとに飼い主が離れる距離を足します。RSPCAの待つ練習の案内

練習はどう続ける?短く区切り、難しさを少しずつ変える

静かな部屋のマットでおすわりし、近くの飼い主を見ている犬

練習は静かな場所で短く区切り、できるようになってから場所や距離を変えます。一度で仕上げようとせず、日々の暮らしの中に繰り返し取り入れましょう。RSPCAの練習の進め方

その回に練習することを一つ決めると、何をほめるか迷いにくくなります。たとえば名前の練習なら、振り向いたら報酬を渡して一区切りにし、そのままおすわりや待機まで追加しない形から始めてみましょう。

練習の前には、次の点を家族でそろえておくと取り組みやすくなります。

  • 今日教える行動を、短い言葉で共有します。
  • その行動に使う合図と、成功を知らせる言葉を決めます。
  • どの瞬間にほめるかを確認し、報酬を手元に用意します。
  • 終わったら「どこで何ができたか」を簡単に残します。

家族が犬への接し方をそろえることも、RSPCAが勧める基本です。家族で一貫した対応をするための案内

「リビングで近くから呼ぶと来た」「廊下では周囲を見ていた」といった記録なら、次の課題を選べます。できなかった回数だけを数えるより、できたときの場所や距離も書いておきましょう。

別の場所では、新しい音やにおいで注意が向きにくくなることがあります。屋外に移るときは近い距離からやり直すなど、簡単な内容へ戻して構いません。場所を変えたときの練習の考え方

ドッグランでの過ごし方に進む前には、ドッグランとは?初めてのマナーと持ち物ガイドも確認しておきましょう。

うまくいかないときは?環境・報酬・体調を見直す

静かな部屋のベッドで休む犬と、少し離れて見守る飼い主の後ろ姿

反応しないときは、周囲の刺激や練習の難しさ、報酬が合っているかを見直します。急に行動が変わったり、痛そうな様子があったりするときは、練習を進める前に動物病院へ相談してください。

困った場面見直したいこと次に試すこと
名前を呼んでも見ない音や人の動きが多くないか静かな場所で、自分からこちらを見る行動をほめる
待つとすぐ立ち上がる待つ時間や離れる距離を急に増やしていないか近くに戻り、短く待てたところで報酬を渡す
報酬に興味を示さない今もその報酬を喜ぶか、落ち着けているか無理に続けず休み、好みや練習場所を見直す
家ではできるが外ではできない場所と距離を同時に変えていないか慣れた条件に近づけ、簡単な内容から再開する

この表は、前の節までの練習を振り返るための目安です。「言うことを聞かない」とまとめず、どの場面ならできるのかを探してみましょう。

困りごとが続くときは、家族だけで抱え込まず相談しましょう。RSPCAは、過度な吠えや攻撃行動、恐怖などについて、行動の専門家に相談することを案内しています。練習で困ったときの相談について

家庭での基本練習を教わる場を探す場合は、報酬を使う方針か、犬が困ったときにどう対応するかも確認しましょう。相談先を考える際には、犬のようちえんとは?しつけ教室との違いと通うメリットを解説も参考になります。

まとめ

  • まず環境と報酬を整え、トイレと名前への反応を暮らしの中で育てましょう。
  • できた瞬間をほめ言葉で知らせ、すぐに犬が喜ぶ報酬へつなげます。
  • 呼び戻し、おすわり、短い待機を、成功しやすい条件から練習します。
  • つまずいたら難しさを下げ、急な変化や安全に関わる困りごとは相談しましょう。

よくある質問

Q成犬になってからしつけを始めても間に合いますか?+
A

成犬でも、報酬を使って新しい行動を教えることはできます。これまでの経験や得意なことを確かめ、静かな場所で簡単な練習から始めましょう。

Qおやつは毎回あげたほうがよいですか?+
A

新しい行動を覚える間は、成功するたびに犬が喜ぶ報酬を与えましょう。いろいろな場所で安定してできるようになったら、遊びやほめ言葉なども組み合わせますが、成功を知らせる専用の言葉を使った直後には必ず報酬を渡します。

Q一日に何分くらい練習すればよいですか?+
A

全員に同じ時間を当てはめず、短い練習を日々の暮らしに分けて取り入れましょう。反応が鈍くなってきたら続けることにこだわらず、休んでから簡単な内容で再開してください。

Q失敗したときは叱ったほうがよいですか?+
A

叱るより、距離や周囲の刺激、報酬の渡し方を見直し、成功しやすい条件に戻しましょう。トイレの失敗も罰せず片づけ、次に適切な場所へ案内する機会を増やします。

この記事を書いた人

わんわん秘密基地 編集部

群馬県で犬のエンタメ複合施設をつくっているチームが、犬との暮らしに役立つ情報をお届けします。

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