犬のしつけ教室の選び方、5つの視点で指導方法と相談内容を整理
犬のしつけ教室の選び方は、指導方法・経験・説明・環境・連携先の5項目を、愛犬の相談目的に照らして確認することです。ごほうびを使う指導を基本に、飼い主が家でも実践でき、必要なときには動物病院につながる教室を選びましょう。
この記事でわかることは、見学で聞きたい質問、相談前にまとめる情報、愛犬に合う指導形式の考え方です。
- 教室名や資格名に加え、実際の教え方と相談内容に合う経験を確かめます。
- 飼い主への説明と、犬が落ち着いて練習・休憩できる環境を見ます。
- 急な行動の変化や噛む心配は、動物病院との連携も含めて相談します。
相談前に「どの場面で、どう困るか」を整理する

まずは、困る行動が起こる場面と、できるようになってほしい行動を言葉にしましょう。「吠えを直したい」から一歩進めて、いつ・どこで・何に向かって吠えるかを伝えることが相談の出発点です。
たとえば「散歩中に犬を見つけると吠える。相手から離れて歩けるようになりたい」という相談なら、場面と目標を一緒に伝えられます。「わがまま」「頑固」と性格を決めつけず、実際に見たことをメモしてみてください。
東京大学の行動診療で使われる質問票にも、生活習慣、過去のトレーニング、病歴などの項目があります。相談用のメモにも、次の情報を入れておくとよいでしょう。東京大学「イヌの飼い主への質問用紙」
- 困る行動が始まった時期、起こる場所や相手、起こりやすい状況
- 行動の前後にあったことと、そのとき家族がどう対応したか
- これまで試した練習と、変わったこと・変わらなかったこと
- 持病や服薬、食事、散歩、留守番など普段の暮らし
- 家族が練習できる時間と、最初に取り組みたい目標
そのメモを持って、以下の5項目を同じ質問で比べてみましょう。返答が具体的だった点と、もう一度聞きたい点を残すと、見学後にも判断しやすくなります。
| 選ぶ視点 | 問い合わせ・見学で聞く質問例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 方法 | できたとき、できないときはどう対応しますか? | ごほうびの使い方と練習の調整 |
| 経験 | この相談内容に対応した経験はありますか? | 似た困りごとへの対応と得意分野 |
| 説明 | 家では何を、どのように練習しますか? | 飼い主が実践できる手順 |
| 環境 | 怖がる犬は休憩や個別対応ができますか? | 犬同士の距離とスタッフの対応 |
| 連携先 | 動物病院への相談を勧めるのはどんな場合ですか? | 対応範囲と紹介・情報共有の方法 |
視点1|指導方法は「できないとき」の対応まで聞く

指導方法は、食べ物や遊びなどのごほうびで望ましい行動を教える方針を選びましょう。「ほめます」という説明に加えて、犬がうまくできない場面で何をするかを聞くことが大切です。
米国獣医動物行動学会(AVSAB)は、基本的な練習にも行動上の問題への対応にも、報酬に基づく方法を推奨しています。恐怖や痛みを与える方法には、不安や恐怖に関連する攻撃行動などのリスクがあると説明しています。AVSAB「Humane Dog Training」
見学では、犬ができる条件に練習を調整しているかを見てください。課題を簡単にする、刺激から離れる、いったん休むなど、愛犬が困ったときの選択肢を具体的に聞きましょう。
たとえば「他の犬が気になって座れないときはどうしますか」と質問します。使う道具の名前だけで判断せず、何のために、どのように使うのかも確認してください。体験では使わなくても、本コースで別の道具を使う予定があるかまで聞いておくと、方針を共有しやすくなります。
ごほうびを使うことは、生活上のルールをなくすことではありません。困る行動が起きにくい環境を整え、代わりにしてほしい行動を教える考え方です。
視点2|肩書に加え、相談内容に合う経験を確かめる

犬のトレーナーの選び方では、資格や経歴と一緒に、今回の困りごとにどう対応するかを確認しましょう。愛犬に似た課題への経験と、今も学び続ける姿勢が判断材料になります。
資格が紹介されている場合は、認定団体や学んだ内容を聞いてみてください。そのうえで「散歩中の吠えについて相談できますか」「怖がりな犬では何を確認しますか」と、相談メモに沿って質問します。実例を聞く場合も、別の飼い主の名前や映像ではなく、対応の考え方を説明してもらえば十分です。
AVSABのトレーナー選びの指針も、継続して学んでいることや、犬ごとに方法を調整できることを重視しています。AVSAB「How to Choose a Trainer」
初回の相談では、いきなり練習内容を決める前に、暮らしや家族の希望を聞いてもらえるかも見ておきましょう。「家では落ち着いているが、外では難しい」といった違いまで伝え、その情報をどのように計画へ反映するのか聞いてみます。
また、「どの犬も同じ回数で必ず改善する」という説明は慎重に受け止めてください。行動には個体差があり、結果を一律に保証することはできないというのがAVSABの見解です。目安を示してもらうときは、何を見て進み具合を判断し、どこで計画を見直すのかまで確認しましょう。
視点3|飼い主が家で実践できる説明があるかを見る

説明のわかりやすさは、飼い主自身が練習の手順を理解して、試せるかで確かめましょう。担当者の実演に加え、飼い主がやってみる時間と質問の機会があることが大切です。
英国のロイヤル・ケネル・クラブは、教室を飼い主が犬への教え方を学ぶ場と位置づけ、家庭での練習も重視しています。ロイヤル・ケネル・クラブ「Introduction to dog training」
体験後に「何ができたらごほうびを渡すのか」「難しいときはどこまで戻すのか」「いつ練習を終えるのか」を、自分の言葉で説明できるか振り返ってみてください。わからなければ、もう一度見せてもらいましょう。
家庭で無理なく続けられる宿題と、困ったときの相談方法も聞いておきたい点です。家族で担当を分けるなら、合図や対応をどう共有するか、子どもがいる家庭なら大人が何を担当するかも相談できます。
たとえば「帰宅後は短い時間しか取れない」と先に伝え、どの場面で何を練習するかを一緒に決めましょう。次回は、できたかどうかに加え、家で実施できたか、難しかった条件は何かを伝えると、見直しの話が具体的になります。
契約前には、総額に含まれる指導内容、追加費用、欠席時の扱い、途中終了の条件も書面で確認してください。料金を比べる際も、飼い主への練習指導や相談対応がどこまで含まれるかをそろえて比べましょう。
預かり型を検討する場合は、お迎え時の説明や飼い主の練習機会も質問します。通い方を整理したい方は、犬のようちえんとは?しつけ教室との違いと通うメリットを解説も参考にしてください。
犬を預かって訓練する事業者や、出張訓練を行う事業者は、動物愛護管理法に基づく第一種動物取扱業(訓練)の登録が必要です。事業所に掲示された標識もあわせて確認しましょう。環境省:第一種動物取扱業者の規制
視点4|落ち着いて学べる環境と休憩の取り方を確認する

環境は、犬が落ち着ける距離を取れ、必要なときに休めるかを確認しましょう。参加頭数だけでなく、困っている犬にスタッフが対応できるかを見ることが大切です。
英国の動物福祉団体RSPCAは、入会前に犬を連れずに見学し、不安そうな犬への対応や教室の雰囲気を見ることを勧めています。犬が縮こまる、尾を脚の間に入れるといった様子がある場合も、指導者がどう対応するか確かめたい点です。RSPCA「How to find a dog trainer」
見学では、次のような点を質問してみてください。
- 他の犬が近いと落ち着けない場合、距離や仕切りを調整できるか
- 途中で休む場所があり、練習への参加をいったん見合わせられるか
- 入口や待機場所で犬同士が近づきすぎないよう、案内があるか
- 個別に相談したいとき、誰に声をかければよいか
- 健康状態や予防接種に関する参加条件を、事前に確認できるか
グループで参加するか迷うなら、愛犬の様子を伝え、個別指導から始める選択肢があるかを聞きましょう。「教室に入れば慣れる」と期待して進める前に、落ち着けないときの対応を決めておきます。
子犬の参加を考える方は、子犬の社会化とは?時期とやり方をやさしく解説もあわせて読み、何を経験させたいのかを相談してみてください。体調に不安があるときは動物病院に相談を。参加条件と愛犬の健康状態を踏まえて、参加時期を判断しましょう。
視点5|動物病院などにつなぐ判断と連携先を聞く

急な行動の変化や強い恐怖、噛む心配があるときは、動物病院への相談も含めて進めましょう。教室には、自分たちで対応できる範囲と、ほかの専門家につなぐ基準を聞いておきます。
Dogs Trustは、行動の変化に病気や痛みが関わることがあり、まず獣医師による確認が大切だと案内しています。たとえば、これまで平気だった場所に触ると急に唸るようになった場合は、しつけの問題だと決めつけないでください。Dogs Trust「Finding behaviour and training support」
日本でも、行動を専門に診る獣医師への相談という選択肢があります。東京大学附属動物医療センターの行動診療科は、攻撃行動、自傷、留守番時の問題などを診療対象に挙げています。こうした困りごとでは、かかりつけの動物病院に行動診療について尋ねてみましょう。東京大学附属動物医療センター「行動診療科」
教室への質問は、「必要になったら、どこへの相談を案内していますか」「動物病院に伝えるために、練習内容をまとめてもらえますか」と具体的にします。提携先の名前に加え、受診を勧める場面や、飼い主を通じた情報共有の方法まで確認してください。
見学後は、最初の表に戻って、説明を受けた内容を書き足してみましょう。気になる点が残ったら具体例を挙げて再確認し、愛犬と家族が続けられる方針かどうかで判断してください。
まとめ
- 相談前に、困る場面と望む行動、暮らしの情報をメモしましょう。
- 指導方法・経験・説明・環境・連携先の5項目で教室を比較しましょう。
- ごほうびを使う方法と、家庭で実践できる具体的な説明を確かめましょう。
- 犬が休める環境や、必要に応じて動物病院につながる対応も大切です。

犬のようちえんを計画しています
わんわん秘密基地は、群馬県で開発中の複合施設です。2027年のプレオープンに向けて、犬のようちえんも計画しています。現在は未開業です。準備の様子や今後のお知らせは、わんわん秘密基地の公式サイトをご覧ください。
よくある質問
Q成犬になってからしつけ教室に通ってもよいですか?+
成犬もトレーニングの対象です。年齢だけで決めず、今の困りごとや体調を伝え、その犬に合う内容を相談しましょう。
Qグループレッスンと個別指導はどう選びますか?+
他の犬がいる場所で落ち着いて参加できるか、相談内容に個別の対応が必要かを担当者に確認しましょう。強い恐怖や噛む心配がある場合は、参加前に動物病院にも相談してください。
Q何回通えば困った行動は改善しますか?+
行動の背景や家庭での練習条件によって異なるため、一律の回数は決められません。最初に目標と振り返りの時期を相談し、変化が乏しい場合の見直し方も聞いておきましょう。
Q犬を預ければ、家では練習しなくてもよいですか?+
飼い主も関わり方を学び、家庭で続けられる練習を教わることが大切です。預かり型を検討するときは、お迎え時の説明や飼い主が練習する機会があるかを確かめましょう。
参考にした情報
この記事を書いた人
わんわん秘密基地 編集部
群馬県で犬のエンタメ複合施設をつくっているチームが、犬との暮らしに役立つ情報をお届けします。