しつけ初心者向け

犬のクレートトレーニング5段階、扉を閉める前から始めよう

公開日 2026年10月14日読了目安 約9分

犬のクレートトレーニングは、接近・入室・滞在・扉・短い待機の5段階に分け、犬が落ち着ける範囲で進めます。入った直後に扉を閉めず、自分から出入りできる経験を重ねることが、移動や避難に備えた待機場所づくりの土台です。

この記事でわかることは、各段階の練習方法、次へ進む目安、犬がクレートに入らないときの戻り方です。

この記事のポイント
  • 扉を閉める練習は、自分から入り、中で落ち着けるようになってから始めます。
  • ごほうびを使い、近づくだけ・鼻先を入れるだけの小さな前進もほめます。
  • 待つ時間と飼い主との距離は別々に伸ばし、不安が出たらできていた段階に戻します。

始める前に、クレートと5段階の目安を整える

開いたクレートと水入れを用意した室内で過ごす犬

最初に用意するのは、犬が自然に立ち、向きを変え、無理なく横になれるクレートです。練習の進度は日数で区切らず、犬がその段階を落ち着いて受け入れているかで判断します。

置き場所は、犬が普段過ごす部屋の静かな一角にします。直射日光を避け、扉が勝手に動いて犬に当たらないよう、開いた状態で固定してください。中には普段使う敷物と、倒れにくい水入れを用意します。敷物をかじって飲み込もうとする犬には、そのまま使い続けず、見守れる条件で環境を調整しましょう。環境の整え方はRSPCAのクレート案内が参考になります。

以下は、練習を小さく分けるための目安です。合格を急がず、「今日は入口で食べられた」と現在地を確認する表として使ってください。

段階練習すること次へ進む目安難しいときの戻り方
1 接近クレートの近くでごほうびを受け取る自分から近づき、においを確かめられるクレートから離れた位置で始める
2 入室開いた入口から自分で入る全身が入り、出たあともまた入れるごほうびを入口側に戻す
3 滞在扉を開けたまま中で過ごす中で食べたり、落ち着いて座ったりできる滞在を短くして出入りに戻す
4 扉扉の動きと短い開閉に慣れる扉を閉めても慌てず過ごせる扉を少し動かすだけに戻す
5 短い待機飼い主が少し離れても待つ短い不在でも落ち着いている飼い主がそばに戻り、時間を短くする

練習の目的は、犬が安心して休める場所を増やすことです。叱ったあとに入れるなど、罰として使うことは避けましょう。留守番の長さを延ばすためだけの道具と考えず、普段から利用できる休憩場所として整えます。

第1段階・接近:入らない犬は近づくだけでよい

扉を開けて固定したクレートの入口を自分から確かめる犬

クレートに入らない犬には、まず外側で「近づくとよいことがある」と感じてもらいます。入口の前に立つことも難しければ、犬が無理なく過ごせる距離から始めて構いません。

ごほうびは、ふだん喜んで食べるフードや小さなおやつを用意します。犬がクレートを見る、近づく、においをかぐといった動きをしたら、静かにほめて渡しましょう。入口の奥へ誘うのは、周囲で落ち着いていられるようになってからです。

たとえば、入口の前で足が止まったときは、その場を今日の練習地点にします。奥におやつを追加して待ち続けるより、いったん手前に戻し、受け取れる場所を探してください。近づく段階では、入室をその日の目標にしなくても大丈夫です。

クレートを出発直前だけ取り出すのではなく、日常の部屋に置いて少しずつ親しんでもらいましょう。運搬用キャリーへの慣らし方を紹介するRSPCA Australiaの案内も、慣れた環境での探索と、犬のペースに合わせた練習を勧めています。

第2段階・入室:「ハウス」は自分から入れるようになってから

開いたクレートへ自分から入り、内側のごほうびを探す犬

入室の練習では、ごほうびの位置を入口から少しずつ奥へ移し、犬が自分で足を運ぶのを待ちます。「ハウス」の合図は、進んで入る動きが出てから結び付けましょう。

  1. 1入口にごほうびを置き、鼻先を入れて受け取れるか見ます。
  2. 2慣れたら少し奥へ置き、前足、全身という順に犬が入れる範囲を広げます。
  3. 3全身が入ったら中でほめてごほうびを渡し、扉は開けたままにします。

前足だけ入れて後ろ足が残るなら、ごほうびをこれ以上奥へ移さず、その位置を繰り返してください。飼い主が入口をふさいでいないかも見直し、横に座って出入りの通り道を空けます。入ってすぐ出ても、無理にとどめる必要はありません。

「入ったら閉じ込められる」という経験を急いで作らないことが大切です。Batterseaの練習案内でも、導入時は扉を開けて固定し、自由に出入りできるようにしています。

自分から入るようになったら、その動きの直前に「ハウス」と穏やかに声をかけ、入ったところでごほうびを渡します。犬が入口で止まっている間に何度も言うより、合図と動作がつながる場面を選びましょう。言葉をかけてから入室をほめる方法はAKCのクレート練習の解説に沿ったものです。

家族で使う合図も「ハウス」などにそろえておくと、練習の手順を共有しやすくなります。「合図の前から入り始めていた」「入口で止まった」と様子を短く残すと、次に練習する人もごほうびの位置を選びやすいでしょう。

第3段階・滞在:扉を開けたまま中でくつろぐ

扉が開いたクレートの中で落ち着いて伏せる犬

中で過ごす練習は、扉を開けたまま、犬が安心して食べたり休んだりする時間を重ねます。入室ができたらすぐ閉めるのではなく、中にとどまる経験を間に挟みましょう。

中で落ち着いて座ったときや伏せたときに、小さくほめてごほうびを渡します。呼び出して渡すのではなく、中で受け取れるようにします。大きな声で盛り上げる必要はなく、犬が休み始めたらそのまま静かに見守ってください。

食事を使う場合は、犬が気負わず食べられる場所に器を置きます。奥で食べるのをためらうなら入口へ戻し、食べられる位置から慣らします。普段の食事や、犬に合った安全な知育玩具を使う方法もありますが、破片を飲み込むような使い方をするものは置かないでください。

犬が自分から中で過ごす場面を、静かにほめることが滞在の練習になります。Dogs Trustの案内は、落ち着いている犬を騒がせずにほめ、中で食事や遊びを楽しめるようにする方法を紹介しています。

ごほうびを食べ終わると出てくる場合は、入口をふさがず見送りましょう。「出る前に閉めよう」と急がず、次回も開いたまま中で過ごすところから始めます。出入りと滞在の練習を分けて考えると、飼い主も扉に手を伸ばすタイミングを待ちやすくなります。

第4段階・扉:動かす、閉める、留めるを分ける

中で落ち着く犬を見ながら飼い主の手が扉を少し動かす様子

扉の練習は、中で落ち着けるようになってから、少し動かして戻すところから始めます。最初から鍵を掛けて待たせず、動き、閉まる感触、留め具の操作を少しずつ経験させましょう。

まず、犬が中にいる間に扉をわずかに動かし、すぐ開いた位置へ戻します。気にせず過ごせるなら動かす幅を広げ、閉じたらごほうびを渡してすぐ開けます。これも落ち着いて受け入れられたら、留め具を短く掛ける練習に進みます。

扉を閉めておく時間は、初めは数秒ほどの短さからで十分です。これは達成しなければならないノルマではありません。扉に手を掛けるだけで飛び出すなら、閉める前の練習に戻してください。Blue Crossの案内も、自由な出入りに慣れたあと、数秒の閉扉から徐々に伸ばす方法を示しています。

扉を閉める時間より、閉めたときの犬の様子を優先します。開閉の練習中は飼い主がそばにいて、犬が扉を気にし始める前の短いところで区切りましょう。

家での進め方を相談する選択肢として、犬のようちえんとは?しつけ教室との違いと通うメリットを解説も参考になります。相談時には「中で食べられるが、扉が動くと出る」など、難しい場面を具体的に伝えましょう。

第5段階・短い待機:距離と時間を別々に伸ばす

閉じたクレートの中で休む犬と、同じ部屋で見守る飼い主の足元

短い待機は、飼い主がすぐそばにいる状態から始め、落ち着いていられる範囲で少し離れます。距離を伸ばす日は待つ時間を短くし、両方を一度に難しくしないようにしましょう。

たとえば、扉を閉めても落ち着いている犬から一歩離れ、すぐ戻って中でほめ、扉を開けます。その距離に慣れたら少し遠くへ進みます。同じ部屋での短い移動ができてから、姿が見えない場所へ一瞬移動する練習につなげてください。

これは時間を更新する競争ではありません。昨日より近い距離に戻す日があっても構いません。記録には「待てた長さ」だけでなく、「離れても食べ続けた」「立ち上がって扉をかいた」など、実際の様子を書いておくと振り返れます。

家で短く待てることと、長時間の留守番や移動に慣れていることは分けて考えます。RSPCAの案内も、一日中クレートに閉じ込める使い方を認めていません。排泄、水分、運動、交流の時間を確保し、待てる長さを一律に決めないでください。

移動と避難へつなげるには

運搬用クレートでの待機に慣れても、持ち上がる感覚や車の音は別の経験です。持ち運ぶタイプは、扉を確実に閉めて安全を確かめてから、ごく短く持ち上げて戻す練習をし、落ち着ける範囲で動きや移動の経験を増やします。具体的な導入順はRSPCA Australiaの運搬用キャリーの案内で確認できます。

環境省のペットの災害対策でも、日頃からキャリーバッグやケージに入ることへ慣れさせるよう呼びかけています。併せて、地域の避難場所でペットの同行避難を受け入れるか、受け入れる場合の注意事項は何かを自治体に確認しておきましょう。

預け先を考えるときは、ペットホテルとは?選び方と準備ガイドを参考に、家での練習状況も共有してください。「ハウスで入れる」「扉を閉められる」「人が離れても待てる」を分けて伝えると、現在できることを説明しやすくなります。

まとめ

  • 接近・入室・滞在・扉・短い待機の5段階で、犬が落ち着ける範囲から始めます。
  • 入らないときは入口の手前へ戻り、自分から近づく行動をほめましょう。
  • 「ハウス」は入る動きに合わせて教え、開いた扉でくつろげる経験を重ねます。
  • 扉や人との距離で不安が出たら難しさを下げ、強い不安を我慢させないでください。
  • 移動への慣らしと避難先の確認も、日常の練習と併せて進めましょう。
わんわん秘密基地

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よくある質問

Q犬がクレートに入らないときはどうすればよいですか?+
A

扉を開けて固定し、クレートの近くでごほうびを受け取る段階に戻します。入口に近づく、鼻先を入れるなど、犬が自分からできる動きをほめ、体を押し込まないでください。

Q成犬でもクレートトレーニングはできますか?+
A

成犬も、近づくところから少しずつ慣らしていけます。過去の経験やその犬の反応に合わせ、子犬と同じ日数や速さで進めようとしないことが大切です。

Qクレートトレーニングは何日で終わりますか?+
A

一律に何日で終わるとはいえず、犬の性格や閉じ込められた経験などで異なります。日数よりも、自分から入る、体に力を入れずに過ごすといった様子を見て次へ進めましょう。

Q扉を閉めると鳴く犬は、静かになるまで待つべきですか?+
A

鳴き声だけで判断せず、排泄の必要や体調、不安の様子を確認します。逃げようと激しく暴れるなど強い不安があるときは我慢させずに練習を中止し、体調に不安があるときは動物病院に相談を。

この記事を書いた人

わんわん秘密基地 編集部

群馬県で犬のエンタメ複合施設をつくっているチームが、犬との暮らしに役立つ情報をお届けします。

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