犬が水を飲まない・飲み過ぎるときは?飲水量の測り方と受診の目安
犬が水を飲まないときは、器の水だけでなく、食事に含まれる水分・尿・元気を確認し、普段との違いを動物病院に伝えましょう。犬が水を飲み過ぎるときも水を制限せず、ぐったりする・繰り返し吐く場合は記録より受診を優先します。
この記事でわかることは、受診の目安、水の減少量を飲水量と取り違えない測り方、食事と尿を含めた一日の記録方法です。
- ぐったり・反復する嘔吐などがあれば、飲水量を測り終える前に受診します。
- 入れた水から残量・交換時に捨てた水・こぼれを差し引き、食事の水分は別欄に記録します。
- 水はいつでも飲めるようにし、飲まない犬の口へ無理に流し込みません。
犬が水を飲まない・飲み過ぎるときの受診の目安

まず見るのは、水の量よりも全身の様子です。飲水量の測定が終わっていなくても、受診や電話相談はできます。
| 判断 | 見られる様子・条件 | 行動と見る時間 |
|---|---|---|
| すぐ受診(夜間でも) | ぐったりして反応が鈍い、立てない、繰り返し吐く、水を飲んでも繰り返し戻す、呼吸が苦しそう、排尿の姿勢を取るのに尿が出ない、丸一日(24時間)水も食事も口にしない | 夜間・救急を含め、すぐ病院へ連絡して受診します。記録をそろえるために待ちません |
| その日のうちに受診 | 普段と違って水を受け付けない、飲水の明らかな増加が続く、飲水の変化とともに食欲や尿の様子も変わった | 当日中に病院へ連絡して受診します。診療時間外は電話で緊急性を確認します |
| 様子を見てよい条件と見る時間 | 元気・食欲・尿が普段どおりで、自分から水も飲める。食事変更などの事情を病院に伝え、自宅での観察でよいと案内された場合 | 病院が指定した時間まで観察し、再連絡の時刻を確認します。新しい症状が出たら、その時刻を待たず連絡します |
ぐったりして力が入らない状態、呼吸が苦しい状態、排尿が困難な状態は、コーネル大学動物病院の救急案内でも救急受診が必要な状態に挙げられています。「丸一日(24時間)水も食事も口にしない」は、犬向けの資料で時間を確認できなかったため、受診を急ぐ安全側の目安として表に入れています。判断に迷うときは、動物病院に電話で相談してください。反復する吐こうとする動作や、無理に飲食させない注意は、VCA動物病院の救急案内でも示されています。
ぐったりしている、繰り返し吐くときは、夜間でもすぐ受診してください。「一日分の測定が必要だから」と翌日まで待つ必要はありません。食事も取らない場合は、犬がご飯を食べないとき、好みで片付けず観察したい体調の変化も参考になります。
犬が水を飲む量は、食事と普段の記録で比べる

犬が飲む水の量は、気温・運動・食事の水分によって変わります。同じ犬の、似た生活条件の日と比べることが、変化を伝える手がかりになります。
ドライフードからウェットフードへ替えると、食事で取る水分が増え、器から飲む量が減ることがあります。逆の変更なら、飲水が増えることもあります。「水の減り方が違う」と気づいたら、フード変更日と実際に食べた量も確認しましょう。
厚生労働省が公開する『補助犬衛生管理の手引き』の飲水の管理(冊子11ページ)では、平均して体重1kgあたり一日100mLを超える飲水を、受診を勧める目安としています。たとえば体重5kgなら、一日500mLを超える量に相当します。
これは飲む量についての相談目安で、尿量の基準ではありません。食事に含まれる水分との合計とも区別し、飲ませる目標や水を制限する上限には使いません。この量に届かなくても、普段より明らかに増えた場合は相談してください。PDSAの飲水・排尿の案内も、普段より増えた時点で獣医師への連絡を勧めています。
入れた水・残量・こぼれを分けて一日記録を作る

器から飲んだ量は、入れた水の合計から、飲まれずに残った水や捨てた水などを引いて見積もります。食事の水分と尿は、それぞれ別の欄に残します。
器の水は、同じ時刻から翌日の同じ時刻まで測る
さくら動物病院の飲水量の測り方は、入れた量から余った量を引き、毎日同じ時刻に測る方法です。家庭では交換やこぼれもあるため、次のように項目を分けると伝えやすくなります。
- 1開始時刻を決め、家のすべての水の器に入れる量を測ります。
- 2途中で足した水も、その都度記録します。空になるまで待たず、必要な水を補充してください。
- 3水を交換するときは、捨てる前に残っている量を測ります。
- 4翌日の同じ時刻に残量を測り、外出先で飲んだ分も分かる範囲で別記します。
器から飲んだ量の推定=最初に入れた水+追加した水−終了時の残量−交換時に捨てた水−分かる範囲のこぼれです。
計算例として、最初が600mL、追加が300mL、終了時の残量が250mL、途中で捨てた水が100mL、こぼれが50mLなら、推定500mLです。これは計算用の例で、適量の例ではありません。
そのまま使える一日記録表
日付、犬の名前、体重、開始・終了時刻を表の上に書きます。次の表は一日分の集計用とし、補充や交換の時刻と量は、表の余白やスマホのメモに都度残しましょう。
| 区分 | 記入する項目 | 一日分の記入欄 |
|---|---|---|
| 器の水 | 最初に入れた量/追加した合計 | __mL/__mL |
| 器の水 | 終了時の残量/途中で捨てた合計 | __mL/__mL |
| こぼれなど | こぼれた量・回数/測れない事情 | __mL、または不明:__ |
| 器からの飲水 | 差し引き後の推定量/外出先の飲水 | __mL/__mL、または不明 |
| 食事 | フード名/実際に食べた量/水分表示 | __/__g/__% |
| 食事の水分 | フード由来の概算/食事に足した水 | __mL/__mL、食べ残し:__ |
| 尿 | 回数/一回ごとの量の印象/色/出しにくさ | __回/多い・普段どおり・少ない/__ |
| 体調・生活 | 元気・食欲・嘔吐/散歩・室内環境・変更点 | __ |
こぼれが測れない、別の犬も飲んだ、留守中の様子が不明なら、そのまま「不明」と書きます。器の減少量をすべて飲んだ量として断定しません。共有の器の水を頭数で割っても、各犬の飲水量にはなりません。
食事の水分は概算で分けておく
フードの水分量は、実際に食べた重さと水分割合から見積もれます。水1gを約1mLとして、食事由来の水分の概算は「食べた量(g)×水分割合(%)÷100」です。
仮に水分75%のフードを200g食べたなら、200×75÷100=約150mLです。ただし「水分75%以下」という表示なら、この計算は上限側の値です。北米向けのWSAVAのフード表示解説でも、水分の保証表示には最大値が使われています。表示やメーカーの成分情報も残し、正確な摂取量と決めつけないでください。複数のフードを食べる日は、製品ごとに記録します。
ふやかしに足した水は、フード自体の水分と別記します。食べ残しがあると追加した水を全部取ったとは限らないため、食べ残しの様子も添えます。必要なら飲水・食事由来・追加水を合計できますが、内訳と誤差は残してください。尿をここから引いて「体に足りた量」を計算することはできません。
犬が水を飲まない理由は、器・食事・体調から確認する

水を飲まない理由には、食事や活動量の変化、水や器への戸惑い、口や喉の不快感などがあります。水の減り方だけで理由を決めず、飲もうとする様子も見ましょう。
器へ近づかないのか、近づいても飲めないのか、少し飲んですぐ離れるのかを記録します。気になる動きが自然に見られたら短い動画を残すと、病院で説明しやすくなります。撮るために何度も飲ませたり、口を無理に開けたりする必要はありません。
犬が水を飲まないときの対処法は、飲みやすい環境づくりから
自分で飲める元気がある場合は、器を洗って新鮮な水に替え、落ち着いて近づける場所に置きます。器が動くなら滑りにくいマットを使い、大きさや高さが合っているか確認しましょう。冬も、器に届くか、水を使い切っていないかを日々確認します。
Dogs Trustの飲水ガイドでは、清潔な器、複数の水場、飲みやすい高さなどが案内されています。環境を整えても飲まない場合や、体調に不安があるときは動物病院に相談を。
水を制限したり、嫌がる犬の口へシリンジなどで無理に水を流し込んだりしないでください。水が気道へ入るおそれがあります。水を飲ませる工夫を繰り返して、受診を遅らせないことが大切です。
水を飲まない老犬は、器までの移動も観察する

老犬では、飲む量とともに、器へ行きやすいか、楽な姿勢で飲めるかも確認します。「年を取ったから」と片付けず、いつから何が変わったかを伝えましょう。
寝床から立って歩く様子、器の前で足が滑らないか、首を下げる動きを嫌がらないかを見ます。必要に応じて近くにも水場を設け、器の安定性や高さは犬の姿勢に合わせて検討します。高くすればよいと一律に決める必要はありません。AAHAのシニアケア指針でも、足元や食器の高さなど、家庭環境の調整が挙げられています。
年齢だけで飲まない理由を判断することはできません。持病や継続中のケアがある場合は、いつもの食事や飲み方からの変化をかかりつけに知らせましょう。日々の比べ方は、犬の健康管理で毎日見ること、食欲・便・歩き方の記録を始めようにもまとめています。
動物病院へは、飲水・食事・尿をまとめて伝える

病院には、飲水の数字だけでなく、変化が始まった時期と食事・尿・体調をセットで伝えます。量が不明でも、気づいた変化は相談できます。
- 犬の年齢・体重、変化に気づいた日、急な変化か少しずつか。
- 測定した開始・終了時刻、器からの推定飲水量、こぼれ・共有などの誤差。
- フード名と食べた量、水分表示、食事に足した水、最近の食事変更。
- 尿の回数、一回の量の印象、色、夜間の失敗、出しにくさ。
- 元気・食欲・嘔吐の有無と時刻、飲む様子や歩き方の短い動画。
- 持病、使用中の薬やサプリメント、最近変えたもの。
VCA動物病院の飲水・排尿増加の検査案内でも、経過、薬・サプリメント、24時間の飲水量が診察の手がかりになるとされています。尿の写真は色や広がりの参考として残し、量を正確に測ったものとは区別します。尿を持参するか、採る時刻や保存方法は、受診先に先に確認してください。
水の変化を相談するために、次の定期健診まで待つ必要はありません。普段の検査計画は、犬の健康診断はいつ受ける?年齢・持病・生活環境で相談する検査を参考に、かかりつけと決めておきましょう。
まとめ
- ぐったり・反復する嘔吐・尿が出ないなどのサインがあれば、夜間でもすぐ受診します。
- 飲水量は入れた水・残量・捨てた水・こぼれを分けて見積もり、不明な量を無理に埋めません。
- 食事の水分と追加水は別に記録し、尿は回数と様子を添えます。
- 数値だけで判断せず、普段からの変化を相談します。水は制限せず、無理に飲ませません。
よくある質問
Q犬が水を飲まないとき、何時間まで待ってよいですか?+
どの犬にも共通する「ここまで待てる時間」はありません。普段と違って水をまったく受け付けない場合はその日のうちに動物病院へ相談してください。丸一日(24時間)水も食事も口にしない場合や、ぐったりする・繰り返し吐く場合は、夜間でもすぐ受診してください。
Q犬が水を飲み過ぎるとき、夜だけ水を減らしてもよいですか?+
自己判断で水を制限せず、いつでも新鮮な水を飲めるようにしてください。飲水と尿が増えた時期や量を記録し、動物病院に伝えましょう。
Qウェットフードを食べている犬は、器の水が減らなくても大丈夫ですか?+
食事から取る水分が増えると、器から飲む量が少なくなることはあります。ただし、それだけで水分が足りているとは判断せず、食べた量・尿・元気も確認し、普段との違いが続く場合は相談してください。
Q多頭飼いで一頭ずつの飲水量が測れないときはどうしますか?+
共有の器の減少量は、頭数で割らず「全頭分・個別量は不明」と記録します。飲む様子を見られた時間や各犬の食事・尿の変化を添え、水場を減らさずに病院へ相談しましょう。
参考にした情報
- 厚生労働省公開『補助犬衛生管理の手引き』第1版・飲水の管理
- コーネル大学動物病院:Emergency and Critical Care
- VCA Animal Hospitals:Emergencies in Dogs
- さくら動物病院:多飲について
- AAHA:2023 Senior Care Guidelines for Dogs and Cats
- Dogs Trust:How much water should a dog drink?
- WSAVA:Interpreting Food Labels(北米のフード表示解説)
- VCA Animal Hospitals:Testing for Increased Thirst and Urination
この記事を書いた人
わんわん秘密基地 編集部
群馬県で犬のエンタメ複合施設をつくっているチームが、犬との暮らしに役立つ情報をお届けします。